小説「氷壁」

keins_jin2006-08-17

井上靖氷壁」のモデルにもなった、登山家・石岡繁雄さんが亡くなられたという訃報を昨日耳にしました。この「氷壁」を最初に知ったのはドラマなのですが、実話が元であると聞き小説を読んだのを憶えています。

 石岡さんは、1955年1月、北アルプスで起きたナイロンザイル切断の遭難で弟さんを亡くし、当時最も強固と言われたナイロンザイルが鋭利な岩角に弱いことを独自の調査で突き止めました。この遭難と真相解明は、ザイルの安全基準制定のきっかけとなり、「ナイロンザイル事件」として注目され井上靖さんの小説「氷壁」のモデルになったということです。
 私は登山の趣味がなく、残念ながらその醍醐味、魅力が解りません。アルピニスト野口健氏は、「地上に帰ってきてすぐは “もういい!”と思う のに、しばらくすると山に帰りたくなる」と何かで語っておられました。世界中の多くの人々を魅了する登山には、壮大な魅力があることは間違いないのでしょう。

 昭和32年に出版されたものですが、描写が非常に丁寧で、また形容が非常に綺麗で古さはまったく感じないです。主人公(石岡さん)の目的を達成するための執念に、男として感じるものがあります。