内部統制(その2)

 前回の内部統制(その1)では、主に「内部統制とは?」という観点で書きましたが、今日はコンプライアンスと内部統制について書きたいと思います。コンプライアンスは「法令遵守」という説明書きがつくことが多いですが、もともとは「期待に答える」とか「何かに合わせる」という意味だそうです。つまり「企業のコンプライアンス」とは、企業が「正しく良い会社」の理想像に近づこうとする努力、理想像に合わせていこうとする努力を言います。これに対して、内部統制は、コンプライアンスを実現していくための、仕組みや体制のことになります。
 ドイツの法学者(ゲオルグ・イエリネク)は「法律は最低限の道徳である」と言っていますが、企業にとっては「法律を守っていればそれでOK」という時代では無くなっています。例えば、ガス湯沸器が不完全燃焼をおこして事故が何件も発生していた時も、法的には報告義務とか開示義務はありませんが、開示しなかったことで事故を最小限に抑えることが出来ず、ユーザーの安心や安全を疎かにしたという企業イメージに繋がっていきました。内部統制とはこういう問題についても、社会に迷惑をかけない、従業員をきちんと処遇する、安全・安心、高品質な商品を提供する、隠し事をしない等を明確な仕組みや体制とすることなのです。